神鳥の卵 第6話 |
ルルーシュ(仮)は、ごきゅごきゅと哺乳瓶からミルクを飲んでいた。 よほどお腹が空いていたのか、一心不乱にミルクを飲んでいるので、今の内にと咲世子の指導のもとルルーシュ(仮)におむつを着けた。 あれだけスザクに「男なんだから見られても女性よりはまだ恥ずかしく無いだろう、さっさと誤解を解け!そして食事を用意しろ!」と言っていた・・・ように思えたルルーシュ(仮)だったが、さあおむつを着けましょうと咲世子が手を出した途端顔を真っ赤にしてイヤダイヤダと泣きそうな顔で暴れるため、諦めてまずは食事を、という流れになったのだ。 バスタオルを外そうとしても、泣きそうな顔でブンブンと首を振るからどうしようもない。 多分咲世子が女性だから、というのが大きいのだと思う。 有名画家がモデルになれ!とでも言えば、自信満々に裸体を晒しそうなルルーシュではあるが、それとこれとは話が別なのだろう。多分。 だが、困ったことにスザクはおむつなど使い方がわからない。 簡単だと言われても不安はある。 今後交換はスザクがするにしても、まず見本に咲世子に使い方を教えて欲しい。 ならばミルクを飲ませ、お腹いっぱいにして眠らせればいいと考えたわけだ。 そして様子を伺っていたのだが。 相手があのルルーシュ(仮)とはいえ所詮赤ん坊。どうやら同時に複数の思考を巡れるルルーシュ(仮)でも、食事中は食事にしか集中できないらしい。 なのでミルクに集中している間に咲世子がテキパキと見本を見せた。 なるほどと納得し、結構簡単なんだなと理解し、おむつ袋の中にウエットティッシュやベビーパウダー等を咲世子が説明しながら片付けるのを真剣に聞いていた。 それらが終わってしばらく後、ルルーシュ(仮)はお腹いっぱいミルクを飲み終え、咲世子に教えられたとおりゲップをさせると満足したと言いたげな顔をしていた。 本当に全く気が付かなかったらしい。 それだけ空腹だったということなのかもしれないが。 「美味しかった?」 「ぁぅ」 何故か偉そうに頷く。「まあまあだったな」とでも言いそうだ。 空腹が満たされ余裕ができたのか、どこかキリリとした表情だったが、次第に自分の体の違和感に気づき、そろそろと下を見下ろした。 先ほどまでバスタオルを巻いただけの体だったのに、今はおむつを履き、ベビー服をしっかりと着ていた。 とは言っても羽根があるから背中の部分は少しめくれていて寒そうだ。 今、咲世子が羽根に合わせて背中部分を開けれるよう手直しをすると言い置き、すでに此処には居ないが、僕がきっちりと赤ん坊の服を着せれないことだけは理解しているし、何より片手は哺乳瓶を、もう片手はその体を抱えていたのだから、両手は塞がっていた。 となれば残るはただ一人。 着せたのは咲世子だと気づいただろう。 次第に顔を赤くさせたり青くさせたりしたあと、フルフルと震えだした。 みると羞恥に顔を赤く染め、両眼いっぱいに涙を浮かべ、唇を噛み締めていた。 これは泣く。 スザクは流石に慌てた。 「ご、ごめんねルルーシュ!でも僕、やり方判らなかったし!でも、ちゃんと教えてもらったから今度から僕がやるからね?ね?だから泣かないで」 涙が零れそうな瞳で「ホントか?」と言いたげに睨みつけてくるので、ほんとだよ!と必死に訴えながらその体を抱きしめた。 抱きしめたのだが。 ・・・ごめんルルーシュ。 僕が居ない時は咲世子さんがやるんだ。 だって僕ゼロだし。 だから、僕が居ない時は諦めてね? ギュウギュウにしがみついてくるルルーシュ(仮)が可愛くて、スザクはその言葉を口にすることは出来なかった。 だが、まあ、今日もゼロは表に行かなければいけないわけで。 「では咲世子さん、お願いします」 ゼロの衣装を身にまとったスザクは、満腹になったことで眠ってしまったルルーシュ(仮)との別れを惜しみながら部屋を後にした。 帰宅後ルルーシュ(仮)が物凄い怒っていて「お前はそうやって俺を何度も裏切るのかスザク!!」という勢いで泣かれ、「俺に近づくな!俺に触るな!お前は敵だ!」と言うように暴れられ、スザクはそんな態度のルルーシュ(仮)に激しいショックを受け、謝って許してもらわなければ!と、とりあえず土下座をした。 |